2018年度
AOGS2018(アメリカ・ホノルル)(2018年6月3日~10日)
ホノルルで開催された第15回AOGS(AOGS2018)に参加した。
当研究室からは3件の口頭発表と2件のポスター発表で成果を発表した。
韓国との共催で、気候変動に関するスペシャルセッションも開催され、
統合プロからも多数の研究発表があった。
- Kenji Tanaka (2018): Seamless Climate Change Impact Assessment Until the End of 21st Century, HS22-A008, AOGS 15th Annual Meeting (AOGS2018), Honolulu, 2018.6.7
- Maochuan HU, Kenji TANAKA, Takahiro SAYAMA (2018) : Model Study of Impact of Climate Change and Reservoir Operations on Water Resources, HS06-A017, AOGS 15th Annual Meeting (AOGS2018), Honolulu, 2018.6.4
- Khujanazarov T., Tanaka K., Touge Y., Toderich K. (2018) : Water Resources and Land Management of the crops distribution in Uzbekistan, HS09-A010, AOGS 15th Annual Meeting (AOGS2018), Honolulu, 2018.6.6
- Natsuko Yasutomi, Kenji Tanaka, Shigenobu Tanaka, Hitoshi Hirose, Koichi Toyoshima, Atsushi Higuchi (2018):Estimation of Detection error of Extreme Precipitation Events in APHRODITE Quality Control using Rain Potential Map, AS29-A045, AOGS 15th Annual Meeting (AOGS2018), Honolulu, 2018.6.5 (poster)
- Daiya SHIOJIRI, Kenji TANAKA, Shigenobu TANAKA (2018) : Improvement of a Global Water Cycle Model In-Land Toward Groundwater Resources Sustainability Evaluation, HS05-A020, AOGS 15th Annual Meeting (AOGS2018), Honolulu, 2018.6.5 (poster)
氷河観測(ボルドー氷河)(キルギス)(2018年8月14日~30日)
平成30年8月15日から8月30日にかけて、Khujanazarov Temur博士、平岡ちひろ(M1)、Sadyrov Sanjar(研究生)と共に、中央アジアで進めている水循環解析、水資源量評価、持続可能な農業に関する研究の一環として、キルギス東部のKaraBatkak氷河に加えて、Narin川源流部のBordu氷河の標高4107m地点に新たに観測サイトを立ち上げた。Bordu氷河では、氷河熱収支に加え、積雪水量も計測する。Bordu氷河観測の拠点になるクントール(標高3800m)は金鉱山で金採掘会社の従業員の宿泊施設を利用できるため、気圧が低いことを除けば町の生活と変わらない。氷河の傍まで車でアクセスできるが、観測地点まで約5kmの道のりは人力で荷揚げをする。晴れたり吹雪いたり天気が目まぐるしく変わる中での移動や作業となったが、何とか設置を完了することができた。
さらに、KaraBatkak氷河のデブリ堆積域に新たに簡易な観測装置を設置した。デブリの粒径はバラバラ、積もり方もバラバラの中で限られた数の温度ロガーをどう配置するか多いに悩んだ。昨年に設置したKaraBatkak氷河の観測システムは冬季にシステムが落ちることなく、稼働し続けた。まだ原因はわからないが、バイサラの総合気象センサーの値が7月4日から更新されておらず、氷河融解最盛期の気象データをロストした(再起動をかけたら復活した)。8月24日の夜に嵐となり、富士山よりも500m程低い氷河観測小屋の周りでも数cmの降雪があった。
雨量計設置など(ミャンマー)(2018年9月19日~25日)
平成30年9月19日から9月25日にかけて、ミャンマーに赴き、転倒マス雨量計(Onset RG3-M)を5台現地に設置した。雨量計の筒内部にデータロガーを内蔵するコンパクトな作りであることと、英語マニュアルが完備していることからこの機種とした。転倒マスが転倒した時刻を記録するので、任意の時間分解能の雨量に変換できる。
Mezali水門では、灌漑局による現業の日雨量観測が実施されている。同じ場所で観測するのは無駄なように思えるが、高時間分解能データで何が見えるのかを考えるきっかけになるかも知れない。
ヤンゴン工科大学構内では、少し前まで在籍していたオランダ人留学生が実施していた複数の種類の雨量計による比較観測が維持されず、転倒マス雨量計はすっかりカタツムリの家になっていた。ディスドロメータの実験もしてたようで、このまま打ち捨てるのはもったいないので、メンテナンスをした。
Kun堰は予算の関係で建設が中断している。敷地は放牧地の中になっているため、雨量計設置後に牛除けのフェンスを設置していただいた。
Hleguにある灌漑局の建設部の事務所の敷地内に雨量計を設置した。ヤンゴン工科大学の学生さんは雨量計の設定やデータ回収方法などを完全に理解し、自分でできるだけでなく、現地の技術者に教えることができるレベルになったため、早速現地の技術者のパソコンを使ってデータ回収をした。
Mon州にあるKadaikダムサイトの年降水量は約6000mm。今年は2006年の運用開始以来2番目に雨が多い年で、9月22日までに既に約7000mm降り、非常用洪水吐からの放流も実施された。
20日の午後にヤンゴン工科大学構内に設置した雨量計のデータを最終日(24日)の朝にチェックしたところ、この間の積算雨量はシリンダー型の雨量計の値と同じで約39mmとなった。また、データ解析トレーニングとして、記録された時刻の情報から、1分雨量、1時間雨量、日雨量に変換するプログラムを一緒に作成した。
今回持ち込んだ5台の雨量計の設置場所は我々が指定せず、現地研究者に提案していただいた。結果的に選ばれた地点の多くは観測網の空白を埋める地点ではなく、すでに雨量観測をしている場所となった。その場所に置くことで何ができるのか、本当にそこでいいのか、ということを、観測を続けていく中で一緒に議論し、また自ら考えて頂けるようになることを願う。
AGU2018(アメリカ・ワシントンDC)(2018年12月9日~16日)
Washington, D.C. で開催されたAGU2018 Fall Meetingに参加した。当研究室からは1件の口頭発表と4件のポスター発表で成果を発表した。
エクスカーションとして、スミソニアン自然史博物館と航空宇宙博物館を見学させていただいた。
- Kenji Tanaka, Natsuko Yasutomi, Shigenobu Tanaka, Atsushi Higuchi, Koichi Toyoshima, Akiyo Yatagai (2018): Improvement of the high resolution gridded precipitation dataset in Japan, H41H-09, AGU 2018 fall meeting, Washington DC, 2018.12.13
- Natsuko Yasutomi (2018) : Effects of Surface Observation Input in Asian Highland on Gridded Analysis of Daily Mean Temperature and its Climatology, C21E-1393, AGU 2018 fall meeting, Washington DC, 2018.12.11 (poster)
- Khujanazarov T., Touge Y., Tanaka K., Toderich K., Tanaka Sh., 2018. Evaluation of climate change and salinization impacts on water demand for irrigation. Case study in the Zeravshan River Basin, H13S-2023, AGU 2018 Fall Meeting, Washington DC, December, 2018.12.10 (poster)
- Maochuan HU, Kenji Tanaka, Takahiro Sayama and Temur Khujanazarov (2018) : Climate Change Impact and Adaptation of Water Resources Management in the Kiso River Basin, Japan, H41I-2165, AGU 2018 fall meeting, Washington DC, 2018.12.13 (poster)
- Yu LI, Kenji Tanaka, Maochuan HU and Shigenobu Tanaka (2018) : New Method Developed to Evaluate the Performances of Low Impact Development under Climate Change: Case Study in Tianjin, China, H51U-1608, AGU 2018 fall meeting, Washington DC, 2018.12.14 (poster)
SATREPS計画打ち合わせ,水質観測、気象観測装置メンテナンスなど(ウズベキスタン)(2019年3月4日~12日)
ウズベキスタンを相手国としたSATREPS「アラル海地域における水利用効率と塩害の制御に
向けた気候にレジリエントな革新的技術開発」に参画予定の,
タシケント灌漑農業機械化技術研究所(TIIAME),ウズベキスタン水文気象局(UzHydromet),
アラル海流域国際イノベーションセンター(IICAS)等を訪問し,SATREPSへの協力をお願いした.
サマルカンドからブハラにかけて,河川や灌漑用水路の水質(EC)を調査した.
また,キジルクム砂漠,ブハラ,ヌクス近郊で実施している気象観測機器,土壌水分・地下水観測
の測器のデータ回収並びにメンテナンスを行った.さらに,Panaev農場に新たに土壌水分観測機器を
設置した.Panaev農場では飼料不足を補うため,栄養価の高い塩生植物の飼料への活用を先進的に
導入しており,PANAMILKというブランドで乳製品の生産,販売を展開している.